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IPOとは?上場との違いやメリット・デメリット、実現のための条件や手順について解説

 2023.12.08  株式会社システムインテグレータ

IPOはスタートアップが目指す一つの目標・マイルストーンであり、IPOをモチベーションに起業した、という方も多いはずです。それだけメリットが大きいIPOですが、準備にたくさんの労力とコストがかかるほか、いくつかデメリットも存在します。
この記事では、IPOの概要とメリット・デメリット、条件や手順を解説していきます。

IPOとは

Business people working together on their laptop in cosy meeting room

IPOはInitial Public Offeringの頭文字をとったもので、日本では「新規株式公開」や「新規株式上場」と呼ばれます。具体的な意味として、証券取引所の株式市場に、株式会社が新規に株式を上場させ、一般に公開されることで、誰でも当該株式会社の株を売買できる状態にすることです。

多くの株式会社では株式は公開されておらず非公開株などと呼ばれ、条件面で折り合いがつけば当事者同士だけで株式の売買が可能です。その際、証券取引所が間に入ることはありません。

一方、IPOには厳しい審査があり、IPO審査に合格することで株式が上場され、証券取引所を通じた売買が可能になります。IPOの審査では、会社の規模や売上、経営の安定性、会計の透明性など様々な項目をチェックされます。

日本国内には4つの証券取引所があります。

  • 東京証券取引所(東証)
  • 名古屋証券取引所(名証)
  • 札幌証券取引所(札証)
  • 福岡証券取引所(福証)

また、それぞれの取引所で複数の市場を開設しています。例えば、東証には「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」の3つの株式市場があります。

上場や直接上場、POとの違い

混同されやすいですが、IPOと上場には微妙に違いがあり、IPOとPOも似ていますが別のものです。また、上場といっても直接上場と呼ばれる形式があり、区別されていますので、それぞれどのような違いがあるかを解説します。

IPOと上場の違い

IPOも上場も、未上場の株式会社が発行する株式を証券取引所で不特定多数の人が売買できるように公開することは同じです。上場は未上場の株式会社が保有・発行する株式が証券取引所で公開され、取引できると認められることを言います。一方で、IPOの場合は、上場するとき“新規”に株式を発行し、公開することを言います。

IPOの狙いとして、以下の点が挙げられます。

  • 不特定多数が株式を購入できる状態にすること
  • 増資や資金調達を目的として、新規に株式が発行されること
  • 初めて株式を公開すると同時に新規に株式を発行すること

現在ではほとんど全ての新規上場企業は上場する場合に新株を発行しますので、IPOと上場はほぼ同じ意味で使われています。

IPOと直接上場の違い

IPOでは新規に株式を発行して増資や資金調達を達成する狙いがありますが、直接上場は新規の株式を発行せず、既存の株式のまま上場することをいいます。新規の株式を発行しないので増資や資金調達は出来ませんが、株式を新規発行する場合の幹事証券会社などに支払う費用などを抑えられます。とはいえ、資金調達などのメリットもなく、市場価値やリスク評価などが難しいことなどから、直接上場はほとんど行われていません。

IPOとPOの違い

IPOはInitial Public Offeringの略、POはPublic Offeringの略になります。POはそのまま訳すと公募という意味になり、すでに上場している企業が、新株を発行することで必要な資金調達をする経営戦略の1つを指します。また、POは売出(うりだし)とも呼ばれ、この場合は企業や大株主がすでに発行された株式を等しい条件で一般の投資家に販売、もしくは購入を促す行為を指します。公募と売出を合わせてPOと呼びます。

IPOのメリット

IPOにはたくさんのメリットがあります。このメリットが大きいからこそ、たくさんの非上場企業がIPOを目指します。ここでは、どのようなメリットがあるのか5つの項目で解説していきます。

信用と知名度の向上

最初に挙げられるのは、「信用」と「知名度」の向上です。

総務省統計局が行った「令和3年経済センサス‐活動調査」では、法人企業は約178万社あり、日本取引所グループのHPでは、2023年8月の時点で約3,900社の上場企業があると発表されています。厳しいIPO審査を通過するということは、上場するだけの売上があり、企業としての安定性があることの証明になるため、取引先や金融機関などからの社会的な信用度は飛躍的に大きくなります。

また、IPO自体が大きなニュースになりますし、投資家の注目も大きくなります。世間への社名の露出も増えることで、知名度も格段に上がります。

ガバナンスの強化

IPOを行うためには事前にガバナンスの強化も求められます。ガバナンスとは、企業・組織が不正をせずに健全な運営を行うために、自らの手で管理・統制することを指します。具体的には、各種の情報開示や透明性を確保したり、株主やステークホルダーの権利を守ったりすることが求められます。

IPO審査の中に企業ガバナンスに関する項目としてコンプライアンスマニュアルの作成が必須になっており、ガバナンスが強化されます。

資金調達力の向上

社会的信用が向上すれば、金融機関からの融資も受けやすくなりますし、公募や社債の発行など市場から資金を調達する方法も増えます。資金調達力が向上することで、自己資本が拡充し企業の発展を加速させることができます。

採用力の向上

知名度や社会的信用が向上すれば、自然と人も集まってくるようになります。求人を出して応募が多ければ、それだけ人材を選んで採用することができます。より優秀な人材を登用することは企業にとって大きな力になります。

創業者利益の獲得

創業者はIPO後に株式を売却することで巨額の利益を得ることができるため、会社経営や事業拡大の高いモチベーションとなります。起業家の中には、この創業者利益を狙っている方も多く存在します。

IPOのデメリット

ここまでIPOのメリットを述べてきましたが、上場するということは非常に重い責任を背負うことにもなり、そのためのコストやストレスもかかります。

ここではIPOのデメリットについて解説していきます。

株主からのプレッシャー

上場するということは、不特定多数の株主から常にチェックを受けることになりますし、最低年に一度は株主総会を開いて経営方針や経営計画について是非を問われることになります。

株主総会だけでなく、業績にかかわる出来事を株主や投資家に対してIRとして常に発信し続ける責任を証券取引所から求められます。

非上場の際は創業者や限られた一部の人間の話し合いにて経営方針などが決定できたかもしれませんが、上場すれば株主などから意見を言われますし、株価が上がるような経営をすることを常に株主から要求されます。

上場維持のコスト

上場した後も、そのままでは上場を維持することはできません。上場の準備だけでも多くのコストと労力がかかりますが、上場を維持するためには更に様々なコストがかかります。

株主総会の開催、外部の監査法人による監査、決算短信の発表、IR情報の発信などの項目で、東証プライム市場で上場を維持するためには年間5,000万から1億円の費用がかかるとも言われています。

情報開示の必要性

上場を維持するためには、徹底した情報開示が求められます。良い情報だけでなく、自社にとって不利な情報であっても、業績にかかわる可能性がある情報は開示しなければなりません。情報開示をすることで、企業経営の透明性を上げて社会的信頼を得ることができ、株主や投資家、ステークホルダーの利益を守ることにもつながります。

有価証券報告書や四半期ごとの決算短信、年1回の決算報告書だけではなく、開示情報として業績の実態や今後の見通しなど様々な情報を開示します。

買収のリスク

不特定多数が売買できるということは、市場で株式を大量に購入されるリスクもあります。株式会社は株主のものであり、より多く株式を持っている人間が相対的に強い立場になります。つまり、事業主でなくとも株式を取得すればその会社を買収できるため、上場すると常に買収のリスクにさらされることになります。

IPOの条件

証券取引所で上場するためには、市場ごとに決められた基準を満たす必要があります。自社の株式を証券取引所に登録するためには、株主数、流通株式数、流通株式比率、時価総額といった基準値をクリアしなければなりません。

証券取引所は投資家たちが安心して活発に株式の売買ができるように、厳しい基準を設定して審査することで、一定以上の信頼のおける企業だけを上場させます。

上場するための条件は市場によって異なりますので、ここでは東証の3つの市場それぞれについて解説していきます。

プライム市場

流動性:
多様な機関投資家が安心して投資を行える潤沢な流動性の基礎を備えた銘柄。

項目

新規上場基準

上場維持基準

株主数

800人以上

800人以上

流通株式数

20,000単位以上

20,000単位以上

流通株式時価総額

100億円以上

100億円以上

売買代金

時価総額250億円以上

平均売買代金2,000万円以上

ガバナンス:
上場会社と機関投資家との建設的な対話の実効性を担保する基盤のある銘柄。「ガバナンス・コード(一段高い水準の内容含む)」の全原則の義務化。

また、投資家との建設的な対話の促進の観点から、いわゆる安定株主が株主総会における特別決議可決のために必要な水準(3分の2)を占めることのない公開性が求められる。

項目

新規上場基準

上場維持基準

流通株主比率

35%以上

35%以上

経営成績、財政状態:
安定的かつ優れた収益基盤や財政状態を有する銘柄。

項目

新規上場基準

上場維持基準

収益基盤

最近2年間の利益合計が25億円以上、または売上高100億円以上かつ時価総額1,000億円以上

-

財政状態

純資産50億円以上

純資産額が正であること

スタンダード市場

流動性:
一般投資者が円滑に売買を行えるような適切な流動性の基礎を備えている銘柄。

項目

新規上場基準

上場維持基準

株主数

400人以上

400人以上

流通株式数

2,000単位以上

2,000単位以上

流通株式時価総額

10億円以上

10億円以上

売買代金

-

月平均10単位以上

ガバナンス:
持続的な成長と中長期的な企業価値向上の実現のため、基本的なガバナンス水準にある銘柄。「ガバナンス・コード」の全原則の義務化。

最低限の公開性を求める(海外主要取引所と同程度の基準を採用)。

項目

新規上場基準

上場維持基準

流通株主比率

25%以上

25%以上

経営成績、財政状態:
安定的な収益基盤や財政状態を有する銘柄。

項目

新規上場基準

上場維持基準

収益基盤

最近1年間の利益が1億円以上

-

財政状態

純資産額が正であること

純資産額が正であること

グロース市場

事業計画:
高い成長可能性を実現するための事業計画を有しており、投資者が適切に投資の判断ができる銘柄。

次の要件のいずれにも該当していること。「事業計画が合理的に策定されていること」「高い成長可能性を有しているとの判断根拠に関する主幹事証券会社の見解が提出されていること」「事業計画や成長可能性に関する事項(ビジネスモデル、市場規模、競争力の源泉、事業場のリスクなど)が適切に開示され、上場後も継続的に進捗状況が開示される見込みがあること」

また、高い成長可能性の健全な発揮を求める観点から、下記の基準が設けられている。

項目

新規上場基準

上場維持基準

時価総額

-

上場10年経過後40億円以上

流動性:
一般投資者の投資対象となりうる最低限の流動性の基礎を備えている銘柄。

項目

新規上場基準

上場維持基準

株主数

150人以上

150人以上

流通株式数

1,000単位以上

1,000単位以上

流通株式時価総額

5億円以上

5億円以上

売買代金

-

月平均10単位以上

ガバナンス:
グロース市場に上場する銘柄の基準のひとつとして、事業規模や成長段階を踏まえた適切なガバナンス水準にある銘柄。「コーポレートガバナンス・コード」の基本原則のみが適用。

上場会社として最低限の公開性も求める(海外主要取引所と同程度の基準を採用)。

項目

新規上場基準

上場維持基準

流通株主比率

25%以上

25%以上

IPO実現までの手順

ここまでIPOの概要やメリット・デメリットを解説してきました。ここでは、実際にIPOの準備から実現までの手順を解説します。

スケジュールの把握

IPOを実現するためには、準備期間が少なくとも3年は必要になります。経営状態や企業規模、業種、ガバナンスの実施状況によって前後しますが、3年の見通しは立てておきましょう。経営者はIPOを考えるのであれば、迅速に事業計画を立てて検討し経営判断を行う必要があります。

計画

IPOを検討してから実現するまでは長い道のりになります。検討段階でプロセスをしっかり把握して計画を進める必要があります。

<上場を計画してから実現するまでのプロセス>

  • 上場/IPOの検討
  • IPOに向けて社内でのプロジェクトチームを組織する
  • 監査法人や主幹証券会社の決定(必須)
  • 上場のガバナンス評価を前提とした経営管理体制の整備
  • 証券印刷会社(ディスクロージャー関連の資料制作支援と印刷を行う会社)の決定
  • 主幹事証券会社による引受審査
  • 定款変更(株式譲渡や公告の方法の変更など)および取締役会での決議
  • インサイダー取引規制研修
  • 上場申請
  • 取引所審査
  • 財務局への事前相談(有価証券届出書の作成など)
  • 有価証券届出書、目論見書作成
  • 公募価格の検討(プレマーケティンググやブック・ビルディングを行う)
  • 上場/IPO実施

形式要件のクリア

証券取引所のIPO審査にて申請時に提出する資料を元に形式要件を満たしているかどうかが判断されます。ここでは東証を例にどんな形式要件があるかを記載していきます。

<東証のIPO審査にて確認される形式要件>
P:プライム市場、S:スタンダード市場、G:グロース市場

  • 株主数(上場時見込み) P、S、G
  • 流通株式(上場時見込み) P、S、G
  • 時価総額(上場時見込み) P
  • 純資産の額(上場時見込み) P、S
  • 利益の額(利益の額については、連結経常利益金額又は連結経常損失金額に非支配株主に帰属する当期純利益又は非支配株主に帰属する当期純損失を加減) P、S
  • 事業継続年数 P、S、G
  • 虚偽記載又は不適正意見など P、S、G
  • 上場会社監査事務所による監査 P、S、G
  • 株式事務代行機関の設置 P、S、G
  • 単元株式数 P、S、G
  • 株券の種類 P、S、G
  • 株式の譲渡制限 P、S、G
  • 指定振替機関における取扱い P、S、G
  • 合併などの実施の見込み P、S 
  • 公募の実施 G 

各地域の証券取引所の市場ごとに要件が違ってきます。これは、その証券取引所が規定するそれぞれの市場のコンセプトに沿って決められ、差異が生じるためです。それぞれの市場の審査基準やコンセプトをしっかり把握して、自社の成長度合いや事業規模などを勘案しながら適切な市場を選ぶ必要があります。

実質基準要件のクリア

上場の申請時に審査される形式要件を満たすことを前提に、上場会社としての適確性を審査するのが実質基準要件となります。ここでも東証の条件を例に記載します。

<東証のIPO審査にて確認される実質基準要件>
P:プライム市場、S:スタンダード市場、G:グロース市場

  • 企業の継続性及び収益性 P、S、G
  • 企業経営の健全性 P、S、G
  • 企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性 P、S、G
  • 企業内容などの開示の適正性 P、S、G
  • その他公益又は投資者保護の観点から東証が必要と認める事項 P、S、G
  • 企業内容、リスク情報などの開示の適切性 G
  • 事業計画の合理性 G

こちらも形式要件同様に市場によって要件が異なるため、しっかり把握したうえで上場する市場を選ぶことが重要です。

まとめ

IPOには多くのメリットがありますが、準備のための時間と労力などたくさんのコストがかかります。上場するための準備では、実効性のある計画を立てて予実管理がしっかりできていることや、ガバナンスなどの内部統制管理を上場審査基準に適合するように進める必要があります。

いきなりこれらを審査基準のレベルで実施するのは難しいと感じるかもしれませんが、ERPを活用することで、IPO実現への取り組みをスムーズに進められます。情報を一元管理して各種の経営状況を管理しやすくするだけでなく、ガバナンス強化機能をもつERPも存在します。ERPを導入してIPOを実現している企業も数多くあります。

ERPの比較資料がありますので、IPOのためにERP導入を検討される場合は、参考にしてください。


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